「節税のために経費を使いましょう」そう言われて、必死に領収書を集めた1年だった。なのに確定申告が終わってみると、なぜか手元の現金は去年より減っている。そんな経験はありませんか。
正直に言うと、これは珍しい話ではありません。むしろ副業を始めたばかりの人ほど、この罠にはまりやすい構造になっています。この記事では「なぜそうなるのか」という仕組みの部分を、2026年の最新の税制改正とあわせてお伝えします。読み終わったとき、「節税って、そもそもそういう話だったのか」と感じてもらえるはずです。
この記事でわかること
- なぜ「経費を増やす=得」という思い込みが、副業所得の少ない人ほど危険なのか
- 2026年・2027年分で基礎控除が最大104万円に拡大した本当の意味
- インボイスの2割特例が2026年9月で終わることの影響
- 青色申告の65万円控除を、紙申告だと自動的に失う仕組み
- 法人化のタイミングを間違えると、なぜ手取りが減るのか
【本質】「経費を増やせば節税」は、実は半分ウソである
まず結論から言います。副業所得が数十万円〜100万円台の人にとって、経費を増やすことの節税効果は、多くの人が思っているよりずっと小さいです。
理由はシンプルです。
個人事業主の場合、基礎控除は「青色申告特別控除」と併用が可能で、令和8年(2026年)改正により基礎控除が増えたため、青色申告(最大65万円控除)を行っている事業主は、「基礎控除(最大104万円)+ 青色申告特別控除(65万円)= 合計169万円」もの所得控除を受けられます。
つまり、副業の所得が169万円以下であれば、そもそも所得税がほとんどかからない可能性が高いのです。
ここで冷静に考えてほしいことがあります。もしあなたの所得が非課税ラインぎりぎりなら、10万円の経費を無理につくっても、節税できる税額はせいぜい税率5〜10%分、つまり5千円〜1万円です。でも、その10万円は実際に財布から出ていきます。つまり「節税したつもり」で、実際には9万円前後の現金を失っているわけです。これが「経費を増やせば得」が半分ウソである理由です。
さらに、
令和8年度税制改正により、基礎控除額は所得水準に応じて最大104万円に変更(2026年・2027年分)され、2028年(令和10年)分以降は、物価上昇に連動して基礎控除額および給与所得控除の最低保障額が2年ごとに見直される恒久的な仕組みが導入されています。
つまり制度そのものが「稼いだ分だけ削られる」構造から「一定額まではそもそも非課税」という構造にシフトしつつあります。ここを理解しないまま昔ながらの「経費を積み増す節税」だけを続けると、努力の方向がずれていきます。
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なぜ9割の人が節税で失敗するのか?構造的な原因
原因①:少額減価償却資産の特例を「買い物の言い訳」にしてしまう
改正後(40万円未満まで対応)では、2026年4月1日以後に購入した35万円のカメラは、購入した年に全額経費計上できます。
この基準引き上げ自体は歓迎すべき改正なのですが、問題は使い方です。「経費にできるから」という理由だけで本当は必要のない機材を買ってしまう人が後を絶ちません。経費計上できることと、その支出が事業に必要かどうかは、本来まったく別の話です。
今日できるアクション:会計ソフトの購入予定リストを開き、直近1ヶ月以内に「節税になるから」という理由だけで買った、または買おうとしている項目に印をつけてみてください。それが本当に売上につながる投資かどうか、5分だけ立ち止まって考えるだけで十分です。
原因②:インボイスの2割特例を「ずっと使える」と思い込んでいる
インボイス制度により、適格請求書発行事業者の登録番号がない場合、取引先が仕入税額控除できなくなり、登録すると消費税の納税義務が発生するため、簡易課税制度や2割特例(2026年9月まで)を活用して負担を軽減する必要があります。
つまり、この優遇措置には期限があります。「今は2割特例があるから大丈夫」と思って対策を先送りにしていると、期限が切れた瞬間に消費税負担が跳ね上がる可能性があります。
今日できるアクション:国税庁のインボイス制度特設サイトを開き、自分の登録状況と、2割特例の適用期限(2026年9月)を確認してください。カレンダーに「2026年8月末:消費税の申告方式を見直す」と予定を入れるだけでも違います。
原因③:所得が増えたら「とりあえず法人化」と焦る
法人化には所得税の給与所得控除を使えるメリットがある一方、社会保険料という新たな固定費が発生します。ある税理士監修の記事では、
法人化することで、自分自身に役員報酬を支払い、給与所得控除を活用して個人の所得税を圧縮できるメリットは依然として強力である一方、法人には社会保険への加入義務が生じる
と指摘されています。所得800万円に届く前に焦って法人化すると、節税額より社会保険料の増加のほうが大きくなり、トータルで手取りが減るケースが珍しくありません。
今日できるアクション:現在の年間所得を紙に書き出し、800万円まであと何年かかりそうか、ざっくりでいいので計算してみてください。法人化は「今すぐ」ではなく「その手前の1〜2年で準備するもの」と捉えるだけで判断がぶれなくなります。
原因④:青色申告65万円控除の条件を満たさず、気づいたら10万円しか引けていない
ここが最も見落とされやすいポイントです。
e-Tax申告+優良な電子帳簿:65万円→75万円、e-Tax申告(通常の会計ソフト):65万円→65万円(変わらず)、紙(書面)で申告:55万円→10万円(大幅減)、簡易な記帳で前々年の収入1,000万円超:10万円→0円
という変更が予定されています。つまり「毎年紙で申告していたから今年もそれでいいや」という選択が、控除額を55万円分も失う結果につながりかねません。
今日できるアクション:freeeやマネーフォワードなど会計ソフトの管理画面を開き、e-Tax連携の設定が済んでいるか確認してください。まだなら、電子証明書の準備だけでも今日中に着手しておくと安心です。
正しいやり方:今日から始める実践ステップ
ステップ1(所要時間15分・費用0円):確定申告書の基礎控除欄を必ず自分で記入する。
会社員は年末調整の申告書に記入し、個人事業主は確定申告書第一表に記入することで基礎控除が適用され、基礎控除は自動適用ではなく「申告主義」のため、本人が所定の書類に金額を記載して提出しなければなりません。
書き忘れただけで104万円分の控除を失うのは、あまりにもったいないです。
ステップ2(所要時間30分・費用0円〜):所得控除の組み合わせを見直す。
青色申告特別控除65万円、小規模企業共済84万円、iDeCo81.6万円を組み合わせれば、年間200万円超の控除も可能です。
すべてを一度に使う必要はありません。まずは小規模企業共済の最低掛金(月1,000円)から試すだけでも制度に慣れられます。
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ステップ3(所要時間1時間・費用0円):電子帳簿保存法への対応を今のうちに終わらせる。
電子帳簿保存法は2024年1月から本格適用され、電子取引は電子保存が義務化されており、紙で保存していると税務調査で否認されるリスクがあります。
会計ソフトを使えば自動対応できる部分が多いので、後回しにする理由がありません。
やってはいけない落とし穴(見落としやすいポイント)
正直、ここまで読んで「自分も少し当てはまるかも」と感じた人は多いと思います。特に危ないのは、複数の失敗パターンを同時にやってしまうケースです。たとえば「紙申告のまま」「経費だけ増やす」「インボイスの判断を先送り」の3つが重なると、控除は最大104万円分減り、無駄な支出は増え、消費税負担も上がるという三重苦になります。
もう一つ。制度は毎年変わります。
基礎控除は所得に応じて最大95万円に、給与所得控除の最低保障額は55万円から65万円へ、扶養控除の所得要件は48万円から58万円へ引き上げられるなど、年ごとに数字が変わっています。
去年の知識をそのまま今年に当てはめるのは危険です。毎年の確定申告前に、その年の最新数字を確認する習慣をつけてください。
よくある質問
- 副業のレベルでも青色申告はできますか?
- 事業として継続的に行っていれば可能ですが、単発の作業や趣味の延長といった扱いだと認められない場合があります。開業届と青色申告承認申請書の提出が前提です。
- 経費を増やすこと自体は悪いことですか?
- いいえ。事業に本当に必要な支出であれば増やすべきです。問題は「節税のためだけ」に不要な支出をすることです。
- インボイス登録は今からでも間に合いますか?
- 登録自体は随時可能です。ただし2割特例の適用期限が2026年9月までとされているため、判断を急ぐ必要があります。
- 法人化はいつすればいいか、この記事だけで断定できますか?
- できません。所得水準や事業内容、社会保険料の試算によって最適なタイミングは変わるため、具体的な判断は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
- 小規模企業共済とiDeCoは両方使えますか?
- はい、併用可能です。ただしどちらも掛金が拠出時に固定されるため、生活資金とのバランスを見ながら金額を決める必要があります。
まとめ:節税で成果を出す人の共通点
ここまで読んでわかった通り、節税の本質は「経費をどれだけ積み増すか」ではありません。「制度上、そもそも非課税になる範囲をどれだけ正確に使い切るか」です。基礎控除104万円、青色申告控除65万円、小規模企業共済やiDeCoの控除。これらを漏れなく申告するだけで、無理な支出をしなくても手元に残るお金は変わってきます。
コツコツと制度を理解して積み上げていくことは、地味に見えて一番確実な近道です。今日紹介したアクションのうち、1つでいいので今すぐ手をつけてみてください。それだけで、来年の確定申告の景色が変わってくるはずです。
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あなたは今回紹介した5つの落とし穴のうち、いくつ当てはまりましたか。よければコメントで教えてください。

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